父を流行り病で亡くし、借財だけを遺された時計師の娘ライラ。北の辺境伯テオドールが差し出した縁談には、奇妙な条件があった。世継ぎはもうけない、夫婦にはならない――いわゆる「白い結婚」。呪われた家系を自分の代で絶やすため、縁談を退ける盾が欲しかったのだと、彼は淡々と告げる。生きる場所を得られるなら、と盾になることを選んだライラは、城じゅうの止まった時計を巡り、ひとつずつ命を吹き込んでいく。けれど館の大時計は、毎夜十二時に止まる癖を持っていた。ライラが巻き直すたび、闇から現れるテオドール。眠れぬのだと、彼は言う。触れぬという誓いを守れず、彼はいつしか、ライラの巻く澄んだ音でしか眠れなくなっていく。これはお務め、期待してはいけない――鈍感に戒めるライラと、彼女の時計=痕跡を手放せない辺境伯。歯車と月光が紡ぐ、溺愛じれじれ西洋ファンタジーTL。長い冬の果てに待つのは、二人の本当の春。◆白い結婚/溺愛/身分差/西洋ファンタジー/時計師/じれじれ/ハッピーエンド◆

