乙女ゲームの記憶を持って水郷の都市国家の悪役令嬢アーデルリンデに転生したわたしを待つのは、半月先の水門開きの夜会で第二王子に婚約を破棄され、敵側ヒロインと共に処断される断罪ルート――。だから決めました。断罪を待たず、わたしが公開水路図で断罪ルートそのものを書き換える。匿名筆名「西の運河の図師」で『公開水路図』を刊行し、運河の水運網に乗せて各水門組合と橋詰の掲示所へ同時頒布。敵の不正を段階公開で予告する。社交界全員が「誰が図を引いたのか」と揺れる中、ただ一人――冷徹な水運辺境伯テオバルトだけが、線の引き方と凡例の畳み方から「この図を引いたのはアーデルリンデだ」と一目で見抜いた。「この図を引く者を、私は妃として隣に置きたい。共闘の予約は本日付で成立した」。境界図改竄、出納帳偽造、不貞露見――刊行のたびに敵が自滅していくその全てを、彼だけが「最高でしたね」と暗い昂揚で称賛してくださる。断罪ルートを書き換える悪役令嬢と、匿名の手を解いた素のわたしだけが知る唯一の共闘者との溺愛の結末へ。女性向けTL長編・全10章完結。

