乙女ゲームの記憶を持って砂漠の王国の悪役令嬢ヤスミンに転生したわたしを待つのは、半月先の星祭りの夜会で第二王子に婚約を破棄され、敵側ヒロインと共に処断される断罪ルート――。だから決めました。断罪を待たず、わたしが詩集で断罪ルートそのものを書き換える。匿名筆名「砂上の燈火」で告発詩集『砂上に灯す』を刊行し、隊商交易路に乗せて各オアシス都市へ同時頒布。敵の不正を段階公開で予告する。社交界全員が「誰が詩を編んだのか」と揺れる中、ただ一人――冷徹な西方オアシス辺境伯ラシードだけが、詩の韻律と論証の畳み方から「この詩を編んだのはヤスミンだ」と一目で見抜いた。「この詩集を編む者を、私は妃として隣に置きたい。共闘の予約は本日付で成立した」。血税横領、毒殺偽装、不貞露見――刊行のたびに敵が自滅していくその全てを、彼だけが「最高でしたね」と暗い昂揚で称賛してくださる。断罪ルートを書き換える悪役令嬢と、匿名の手を解いた素のわたしだけが知る唯一の共闘者との溺愛の結末へ。女性向けTL長編・全10章完結。

