オルヴィエート公爵令嬢セレスティーヌは、聖都ソレンツァの春の寄進茶会で、腹違いの妹ロザリンドに婚約者の枢機卿補佐公爵を奪われた。「祝福で結ばれた一対なのです。姉さま、どうか婚約を譲ってくださいまし」――参事会衆の前で泣き伏された瞬間、わたくしは悟りました。反論すれば哀れな被害者にしかなれない。けれど悪女として能動的に振る舞えば、ルールを書く側に回れる、と。紫水晶の首飾りの留め金を緩慢に外し、棒読み気味に微笑んで「よろしいですわ。宝飾ごとお譲りいたしましょう」と差し上げた瞬間、聖都の貴族は「祝福姫がついに本性を現した」とざわめいた。けれどただ一人、冷徹な枢機卿補佐公爵ガブリエル閣下だけが、わたくしの悪女の留め金を最初から読み解き、「あなたの宝飾の作法を読み解く共犯者になりましょう」と告げる。持参財を寄進信託に綴じ込み、婚約祝いの茶会を主催し、敵が自ら偽聖遺物の罠に踏み込む――その全てを「今宵の留め金、見事でしたわ」と称賛してくれる閣下と、悪女を解いた素のわたくしだけの公領館の閨房。能動逆転の長編TL。全十章完結。R18女性向け官能。

