現代日本で大学拳法部主将として全国大会準決勝敗退の挫折を抱えていた俺は、ある朝、祭儀召喚の祝詞に呑まれ、東方禅剣の王国シノナへ召喚された。徒手の拳だけを頼りに生きてきた俺を迎えたのは、若き拳法宗家――宗家継承の重圧を一人で背負い、拳で家を背負ってきた男だった。なぜ俺なんですか。問う俺に、彼は「見ていた、ずっと」とだけ答える。立ち合いの一手で交わした呼吸が、最初の一目惚れだったと知るのは、ずっと後のこと。朝議、道場の開閉、祭典、辺境鎮撫――公の顔で誰よりも厳しい宗家が、禅院の朝靄の中、俺の前でだけ静かに執着を解いていく。拳を整える呼吸、道着の擦れと帯の鳴り、古い拳法譚と禅譚の断片。拳を交わすことが、いつしか誓いに変わっていく。やがて俺は元の世界の家族との別れを選び直し、自分の意志で告げる――「俺もあなたに、拳を捧げたい」。強制装置に頼らず、拳の言語だけで結ばれていく純粋関係性のBL。HE完全着地・全10章完結。R-18。#BL #異世界召喚 #拳法宗家 #格闘 #溺愛 #ハッピーエンド

