王都の社交界で役立たずと評され、婚約を解消された伯爵令嬢。行き場を失った彼女がたどり着いたのは、辺境の高原に広がる小さな牧場だった。乳しぼりという最も基礎の手仕事から始め、心を込めてチーズを作り、スープを煮て、パンを焼く。地に足のついた職能が一つ実を結ぶたび、高原の食卓には人が集まり、いつしか王都中の人々までが、その味を求めて辺境へとやってくる。かつて彼女を見限った旧職場や元婚約者たちが、遅れて評価を覆していく痛快な観察者構造。高原の四季、熟成棚、薪窯の火、食卓に座る背中——穏やかで満ち足りたスローライフ料理譚が静かに描かれる、全十章・シリーズ第一巻。【スローライフ/料理/グルメ/悪役令嬢/辺境/癒し系/全年齢】
