味見しか許されなかった見習いの薪窯のパンが、街道じゅうの朝をひっくり返す——。王宮の地下厨房で、腕を認められぬまま薪割りと灰かきに回されてきた見習いパン職人ミリア。老パン頭に「お前が決めることじゃない」と言われ続けた朝、彼女はとうとう厨房を辞め、街道沿いの小さな宿「金の麦穂亭」に流れ着く。打ち捨てられた薪窯に火を入れ、酵母を起こし、自分の手で焼いた一斤を差し出すと、無口な宿の主人ロタールが毎朝いちばんに並んでくれるようになった。やがてその香りは街道を伝い、行商人や村人、王都の御用達までもが彼女のパンを求めて集い始める。誰かに認めてもらうためではなく、ただ美味しいパンを焼くために——温かな食卓と、街道の人々に祝福される幸せな結末まで。読めば心がほどけるスローライフ・グルメ譚。#異世界スローライフ #料理 #グルメ #ハッピーエンド #全年齢
