婚約を立ち消えにされ、社交界の片隅で家具のように扱われてきた男爵家の三女クレア。母が遺した銀の指輪と古い星表帖を抱え、私は誰も寄りつかない祖父の南方海辺の別邸へと退いた。けれど星霜の谷の若き族長は、私の指輪が星明かりに白く透けた瞬間、私を「契りの番」と選び切る。「星が、お前を指した。血が、お前を呼んだ」――血の系譜、契りの絆、星の選び。三重の運命が、地味なだけだったはずの私を、彼の生涯の意味として縛りつける。逃げ場はない。けれど公の統率の顔の裏に隠した彼の脆さに触れるたび、私は「選ばれる」悦びへと堕ちていく。蛇人族の影が谷に迫るなか、二人の血が応え合う。オメガバース語彙を使わない獣人運命番TL、星空に満ちるHE。シリーズ第2巻・全十章完結。

