舞踏会の夜、「役立たず」と侯爵令息に婚約を解消されたアンリエッタ。けれど取り乱しはしない――社交界に居場所を失った彼女には、王立天文学院で磨いた星読みの目と、向かうべき最果ての海があった。波の音だけが響く灯台都市セレナードで、寡黙な灯台守の長に迎えられた彼女は、夜ごと六分儀で星を測り、海図を編み、灯台の長い夜を一枚ずつ書き継いでいく。やがてその海図は王立海事局をも動かし、かつて彼女を「地味な令嬢」と侮った者たちは静かに評価を見直すことになる。灯台の螺旋階段を上る彼女を、誰より近くで見守ってきた灯台守の長が交わすのは、銀の腕輪と、二度と独りにしないという静かな約束。婚約破棄から始まる、最果ての灯台都市の星読みスローライフ・ロマンス。
