市街地から車で四十分、四百年続く山あいの古刹『常照院』二十八代目若住職・雲井蓮承、三十六歳。代々受け継いだ銀箔表紙の和綴じ檀家帳には、参詣記録、香奠記録、斎食予約、法要予約、結縁記名――家を背負って通う檀家妻の月命日が、丸に十字の朱印とともに刻まれていく。夫の医院を十年支えてきた医師妻・沙苗四十五歳。葛西の家に嫁いで二十五年の建設会社社長妻・利香子四十九歳。理学博士の夫の研究を支えてきた大学教授妻・美鈴四十七歳。五代続く神野家を継いできた旧家当主妻・朱里四十三歳。一参、二香、三斎、四誓、五縁――家を守ってきた格式の妻が、香煙の中で、自ら第五区の朱印を求めにくる。古刹ハーレム、シリーズ第1巻・全10章完結。

