本土から船で二時間。離島の山ふところに三百年続く老舗温泉旅館『凪音宿』四代目若旦那・凪沢千景、三十五歳。代々受け継いだ桐表紙の留書帳には、湯入り順、茶事予定、朝食予約、お席案内――客の滞在の総てが、波と月の朱印とともに記される。離婚後十年ひとりで本を作ってきた出版社編集長・詩織四十四歳。独身主義五十年の弁護士・玲五十歳。離婚後二年、先代から店を継いだ老舗料亭の女将・紗英四十八歳。独身でスタートアップを立ち上げたIT役員・帆奈四十二歳。一湯、二茶、三膳、四誓、五縁――ひとりで生きてきた自負を抱えた格上の女が、湯気の中で、自ら第四区の朱印を求めてくる。離島ハーレム、シリーズ第1巻・全10章完結。

