没落子爵家の娘マリーカは、家計のため王都の名門ヴァルトハイム侯爵家に「一年で円満に解消する」契約妻として雇われる。社交界で〝氷の侯爵〟と畏れられる当主ユリウスは、爵位継承条件と政略縁談を回避するために結婚という体裁を必要としていた。──そのはずだった。律儀に契約を勤めるマリーカに、ユリウスは「契約をより完全にする」名目で次々と条項を追記していく。管理の建前で書かれた一行一行が、実は静かな告白であることに、契約を律儀に守る側の彼女だけが気づかない。やがて政略縁談、解消期限、そして一夜の決壊が、一年で終わるはずだった偽りを本物へと書き換えていく。氷の侯爵の本心は、契約の前から決まっていた。シリーズ第2巻・全10章完結。
