ジジェクは本書において、ラカンの理解を背景に、ヘーゲルを前面に出し、人工知能やポスト・ヒューマンの話題を展開する。心のプロセスとデジタル・マシンが直接的につながるような「接続された脳」が現実となった場合、私たちの主観にはいったい何が起こるのだろうか。さまざまな小説や映画に言及し、卑猥な冗句も含めながら、この問題意識に迫っていく。生成AIの登場などによってシンギュラリティの到来を身近に感じるようになった今こそ考えるべきテーマが詰め込まれている。デジタル社会における人文知の新たな道を切り開く書として好適といえるだろう。
