本書は、MPEGという「魔法」のような映像圧縮技術が、その誕生から現代、そして未来へとどのように進化してきたのかを物語る一冊です。1980年代後半に約650MBのCDに映画を収録するという目標が掲げられ、フルHD映像を非圧縮で保存すると1秒間で約190MB、1時間では約680GBものデータ量になるという課題に対し、世界中の技術者が数々の発明と工夫を重ねてMPEGが生まれました。35mmフィルムとブラウン管から始まったアナログ時代から映像のデジタル化、そしてインターネット時代の到来を経て、現代ではスマートフォンからのSNS動画アップロードやNetflixでの映画ストリーミング、ビデオ会議が当たり前の光景となっています。この日常の裏側には、映像データを劇的に小さくするMPEGという「魔法」のような技術が存在し、映像と音声のデジタルデータ表現の基礎、情報量制御技術、色差成分を利用したデータ削減といった知恵が凝縮されています。本書では、MPEGだけでなく、H.261、AV2、DivXといった関連技術も網羅し、その進化の物語を通じて、現代のデジタル映像を支える知恵の数々を紐解いていきます。

