没落伯爵家の令嬢、暁子は二度縁談を受けたものの、いずれの夫も早々に亡くなってしまう。夫殺しの毒婦と噂され絶望する暁子に、強欲な伯爵家は再び結婚を命じる。年老いた炭鉱王に嫁がされそうになるが、見合いに現れたのはその息子で麗しい帝大生、隼人だった。地方のお屋敷での生活が始まり、暁子は亡き実母から教わった料理や教養で少しずつ居場所を作っていく。そのひたむきさは後継者の重圧を背負う隼人を支え、やがて隼人も暁子に惹かれるが、元夫の死を調べる新聞記者が現れて――傷を抱えた二人の優しい溺愛物語。==登場人物==白河暁子二十四歳。幼い頃に実母を亡くし、伯爵家に引き取られた。美しさゆえに縁談が絶えず、金目当ての伯爵家に命じられ結婚を繰り返す。黒瀬隼人二十一歳。地方の炭鉱を経営する黒瀬家の御曹司。養子。黒瀬の父が療養中のため、帝大を休学し炭鉱の経営に携わっている。
