婚約破棄の右拳――。三年前、浮気した婚約者に鉄拳を見舞った伯爵令嬢トリシアは、その勇ましすぎる噂のせいで縁談ゼロのまま二十歳を迎えた。そんな彼女に、若き敏腕宰相レオナルドから突然の求婚が届く。彼は三年前の騒動の際、トリシアの拳に巻き込まれて吹き飛んだ通りすがりの貴族だった。トリシアは「あの時の復讐をされるのでは?」と戦々恐々しながら嫁ぐが、待っていたのは予想外すぎる溺愛生活。じつはレオナルドは、公衆の面前で拳を振るう彼女の気高さに一目惚れした、重度の「ギャップ萌え」にして「叱られたがり」な変態紳士(?)だったのだ。仕事熱心なトリシアを尊重しつつ、夜は情熱的に迫るレオナルド。彼の真っ直ぐな愛情に触れ、トリシアは次第に心を開いていく。しかしトリシアにはどうしても気になることがあった。それは、三年の空白。あの鉄拳事件から、すでに三年の時が経っている。今になって求婚してきた、レオナルドの真意は……。
