「──お前は、器だ。」何度となく聞かされた言葉に、毎夜どくどくと流し込まれる”穢れ”。そう、この村は穢れている。この村では、仏師の一族である八塚家に逆らったものは呪い殺されるという。そんな仏師・志堂の妾となってしまった主人公・祝織は、「穢れた地で、穢れを落とし仏を彫る」という名目のもと繰り返される陵辱に、心身を蝕まれていた。”器”としてだけの自分の存在に、正気も生気も失いかけたある日、友人の浩介が祟りの噂の通り、口からおびただしい数の虫を吐き出し謎の死を遂げる。浩介の葬儀で出会った刑事の「祟りに見せかけた殺人かもしれない」という言葉に、疑心暗鬼になりながらも協力する祝織。揺らぎ始めた歪な日常の中で、見え隠れし始めた悍ましい歴史と、異形の存在。生と死が弄ばれる狂気の村で、苦悶と恍惚の果てに少女は何を知る。
