中古マンションのリノベーションデザイナーをしている先山あさみ(44)。独身、子どもなし。それに伴う後悔もなし。だけど、ほんの一瞬すれ違っただけの女子中学生に、ふと、ある感情がわきあがる。「なんか、なにか、してあげたいなー」震災を経て、合理的に、街は、人々は3つに分断された。緑豊かな「文教地区」に暮らす、子育て世帯。自由で便利な「商業地区」に住まう、労働者。温暖な「保養地」で老後を過ごす、高齢者。結婚するか、しないか。子どもを生むか、生まないか。いつのまにか引かれた線。どこまでも他人なわたしたちは、その線を越えていけるだろうか。第26回手塚治虫文化賞[短編賞]受賞の著者が贈る、"選択"と"居場所"を巡る物語。

