※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできません。春を待ち望む気持ちは、どうしてこんなにも切なく、あたたかいのだろう。本作は、冬から春へと移りゆく季節のなかで、「命の循環」「別れと再生」という普遍的なテーマを、やさしく静かに描いた絵本です。主人公は、冬の妖精たちによって生み出された、まっしろな猫「ユキ」。雪でできた存在であるユキは、小鳥との出会いをきっかけに、まだ見ぬ「春」という季節に強く心を惹かれていきます。色にあふれ、あたたかさに満ちた世界――その憧れは、同時に、避けられない運命とも向き合うことを意味していました。この絵本が描くのは、「死」や「別れ」を恐ろしいものとして突きつける物語ではありません。消えてしまうこと、失うことを、終わりではなく、かたちを変えてつながっていくものとして見つめ直す視点が、全編を通して静かに流れています。雪が溶け、大地に還り、また次の季節へと受け渡されていくように、命もまた循環していく――その感覚が、言葉と絵の余白から自然と伝わってきます。作者は、イタリアと日本を拠点に活動する絵本作家・刀根里衣。国際的に評価されてきた繊細な色彩感覚、とりわけ印象的に使われる「青」は、本作でも重要な役割を果たしています。本作は、「死ぬことがこわい」という率直な問いに向き合うなかで生まれた一冊。悲しみを無理に乗り越えさせるのではなく、そっと隣に座り、考える時間を差し出してくれる絵本です。悲しさの中にも、確かに希望はある。生や死について、やさしく考えたい、伝えたい――そんなすべての人の心に、静かな余韻を残してくれる作品です。

