「じゃあさ、君の残りの時間を俺にちょうだいよ」××しようとした夜、私は幽霊に出逢ったーー。真っ暗な夜空に、青い月だけが光り輝いている。高校3年生の水無瀬二葉(みなせ・ふたば)は、市内で自殺スポットとして有名な鉄橋の上にいた。「ねえ、何をしてるの?」鉄橋の手すりに足をかけた二葉に声をかけたのは自称幽霊の少年、レイ。レイは最後の日が来るまで、鉄橋にやってくる自殺志願者を止めてほしいのだと言う。彼の言葉を受けて、18歳の誕生日までの四週間をレイと過ごすことになる二葉。レイはなぜこの鉄橋に囚われているのか? 4週間後、二葉が願ったこととは?私が死ぬまで、あと26日。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「でも、レイ君は幽霊だからなぁ」呟いた自分の言葉に、思わず苦笑いを浮かべてしまう。幽霊じゃなければ、レイ君と出会うこともなかった。でも、幽霊だから一緒に生きることもできない。それがどうしてこんなにも苦しいのか。その答えを出すことを、私はまだためらっていた。(本文より)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー自分以外のために回っていると思っていた世界で、君と過ごした日々。それは、今までの人生の中で一番生きていると思えた時間だったんだよ。
