一枚チラシのから始まる不思議な出会い。不運続きの少女木野は、ふと手にした「スタッフ募集」の紙に導かれるように、裏路地の奥にある小さな探偵事務所の扉を叩く。そこにいたのは、美しくも掴みどころのない女性探偵・浦波。電話番号も住所も曖昧な、いかにも怪しい事務所なのに、なぜか彼女の言葉だけは不思議と信じられた。最初の仕事は、浮気調査という現実的な依頼。浦波と一緒に動くうちに、木野は“事件の真相”よりも、“人の心の奥にある想い”を知ることになる。運が悪いと思っていた自分の人生が、ほんの少しずつ、違う色を帯びて見え始める――。強がりでマイペースな浦波と、まっすぐで少し不器用な木野。正反対のふたりが過ごす時間は、どこか柔らかくて、時々ドキッとするほど近い。仕事の合間に見せる微笑み、それは探偵と助手の関係なのか、それとも――。視点が変われば、不運も幸運に変わるかもしれない。小さな謎と、少しの恋のようなきらめきを描く、優しくてあたたかい百合テイスト・ハートフルストーリー。

