麻薬は、規制されているから危ないのではない。危ないから規制されているのだ。国連職員として30年、麻薬帰省の現場を見て来た著者が、無責任な『合法化論』に警鐘を鳴らす!医療・研究用には不可欠な規制薬物・麻薬。同時に、その横流し、密造、密輸、乱用による悪事も絶えることがなく、国際条約体制もその対応のために進化し続けている。麻薬をめぐって世界で起きた事例を軸に、国際社会の薬物対応の原点を理解する。麻薬をめぐって世界中で起きた事実の記録と、それぞれの時代に起こった事柄と対策、現状、未来に向けての課題を浮き彫りにする。世界中で無責任な薬物の娯楽目的の使用を合法化しようとする風潮を抑止するため、必読の書。多面的な麻薬の姿を改めて問い直し、現代に生きる鎮痛・治療の役割、20世紀以降の規制と戦争、現代社会における乱用と依存の問題までを網羅的に扱い、「なぜ麻薬は社会において危険とされるのか」「なぜ規制の対象となったのか」といった根本的な問いに迫り、読者が日常生活や社会問題を考えるうえで役立つ「リテラシー」としての麻薬知識を身につける手助けとなる、現代人必読の書。■目次・はじめに●第一章 麻薬とは何か――近代世界を動かした物質・1 どんな麻薬が乱用されてきたのか・2 密造・密輸と乱用の実態――麻薬その他の規制薬物はどこでつくられているのか・3 正規の医療用麻薬について●第二章 犯罪組織との戦い――過去から現代へ●第三章 麻薬の国際規制――条約体制の芽生えと進化●第四章 国際オペレーション――新たな始まりのとき●第五章 国々の戦い――異なる視点から●第六章 歴史は韻を踏む――現代の憂うべき風潮・おわりに 未来へ向けて・謝辞として・参考文献■著者 藤野彰(ふじの・あきら)公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター理事長国際基督教大学(ICU)大学院修士(国際法)、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)大学院修士(国際関係論)を経て、国際基督教大学(ICU)大学院博士課程(国際法)在学中に国連に採用され、ウィーンに通算25年、その間にバンコクに5年赴任。主に麻薬などの国際規制に携わり、新たなメカニズム構築に尽力する。国際麻薬統制委員会(INCB)事務局次長、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)東アジア・太平洋センター(当時)代表、UNODC事務局長特別顧問などを歴任し、帰国。日本学生協会(JNSA)基金理事長等を経て、現在は公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター(DAPC)理事長、一般社団法人国際麻薬情報フォーラム(IDIF)代表理事、特定非営利活動法人アジアケシ転作支援機構理事、認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー(ELNA)代表理事、合同会社共同クリエイションズ会長などを務める。

