主治医と患者--超えてはいけない恋が、雪の夜に揺れ始める。
自分の店を持つことが夢のバーテンダー・七帆(ななほ)は、働きすぎで過呼吸がよく出るように。
どうにかたどり着いた病院で助けてくれたのが、精神科医の誉(ほまれ)先生だった。そこから主治医として寄り添い続けてくれる彼に七帆は恋をしてしまう。
けれどその想いは専門用語でいう「転移」--治療中に生まれがちな“疑似恋愛”だと説明されてしまった。病状も落ち着き、今日でカウンセリングは修了。
先生のこと、諦めよう--そう思っていた夜、大雪で店を閉めようとした七帆の前に、誉先生が現れる。
病院では見せない、どこか緩んだ色気をまとった表情で。
それでも七帆は気持ちを抑えて、いつも通りに仕事を全うしようとするけれど--。
