「男ってのは、こうやってオトすのさ、雪……わっちはおまえの放つ欲望の匂いに引き寄せられてきたんだ――」中学生の雪(ゆき)はクラスでも目立つ存在ではなく、同い年の男子の気持ちに疎い奥手少女。そんな雪に好意を抱く同級生の景山(かげやま)。雪の親友・イクミは大人びていてしっかり者で、じつは景山にずっと片思いをしていた。そんなある日、江戸時代の吉原遊郭に生きていた遊女・凛(りん)の霊が、雪の身体に乗り移ってしまう!凛が憑依すると、雪は普段の自分ではあり得ない大胆な言動をくり返し、それがイクミや景山との関係を変えていく。雪はそんな自分に戸惑いながらも、心の奥底に眠っていた自分の欲望に気づき始め……。一方、遊女・凛は吉原で何があったのか、どうして死んだのか、なぜ雪に憑依したのか――!?火に対する異常なまでの恐怖心、そして、謎の絵師との道ならぬ恋……。青春の醜さ、失恋と嫉妬、友情の脆さ……凛という存在が、人間の闇をあぶり出していくダークラブ・ファンタジー!
