恋人が綴った、西村賢太(けんけん)との3547日「自分の人生に責任、持てよ」この言葉がなかったら、ここまで書けなかった。私のせいで西村賢太(けんけん)が殺された、との認識が、突然背後から鈍器で殴りかかってきた――瞬間、左のみぞおちが反り返るようにグググと引き攣って、洗面台に駆け寄って嘔吐(えず)いていた――『西村賢太殺人事件』の爆誕である。これは、私が私のために書きました。西村賢太のために、などとは歯が浮くようでちょっと言えないし、私が書かねば彼が忘れられてしまうから、などという考え自体、まるでない。書いていると、不在感が増幅されて泣くこともあった半面、思いがけず記憶の彼方から蘇ってくる彼に出くわして喜ぶこともあった。「自分の人生に責任、持てよ」この言葉がなかったら、ここまで書けなかった。【目次】第一章 火吹達磨としぶり腹第二章 岡山ルーチン第三章 遥道第四章 DJけんけん第五章 一国一城の主第六章 暴力の沙汰第七章 ケダモノの舌第八章 愛情乞食第九章 清造大権現第十章 西村賢太殺人事件
