■今明かされるニッポン半導体「失敗の本質」 台湾積体電路製造(TSMC)やRapidus(ラビダス)など、巨額の国家支援を受けた4つの新工場建設で沸き立つ日本の半導体業界。しかしかつて世界の5割を誇った日本半導体のシェアは今や世界の1割にも満たない。約20年ぶりの半導体世界戦線への復帰は本当に可能なのか。 その答えは「ニッポン半導体敗戦」の象徴となったエルピーダメモリ破綻の当事者で、その後は戦犯と遠ざけられた異能の経営者 坂本幸雄氏が持っていた。 坂本幸雄氏は、万年赤字会社だったエルピーダメモリをわずか1年で黒字化し、世界3位のDRAMメーカーへと導いたほか、数々の半導体企業を立て直すなど日本人としては抜群の実績を誇るプロ経営者だった。体育大学出身、米国半導体メーカーの“倉庫番”からのスタートという異色の経歴を持つ彼は一方で、日本の半導体産業の「失敗の本質」を誰よりも深く理解していた。 2024年に急逝した坂本氏が生前、著者との独占ロングインタビューで語った言葉の数々。そこには、日本のものづくりの未来を左右する重要な示唆が含まれていた。GAFAMの興隆期からシリコンバレーを取材し続けるなどテクノロジーへ造詣が深い経済ジャーナリストが、関係者への徹底取材で裏付けた証言の数々とともに、日本の産業界に警鐘を鳴らし、ニッポン半導体の復活への処方箋を解き明かす。 10兆円という空前の国家支援が動き出した今こそ、「ニッポン半導体敗戦」の根幹をひもとき、教訓を未来に生かすべきだ。テクノロジー産業に関わるすべての人、そして日本の産業の未来を考えるすべての人に役立つ必読の書である。