匣(はこ)に刻まれた一字は己の運命。
その字に従うか、刃向かうか――。
少女は国を「盗」み、世界の命運を一変させる。
新時代の王道中華ファンタジー、ここに開幕。
大陸の中央に巨大な匣「源匣(げんこう)」がそびえるその国は、代々、真族(しんぞく)と呼ばれる者たちが治めていた。
人々はみな生まれた時に、小さな匣を与えられる。
小匣は決して開くことはなく、ただ一つの文字が刻まれているのみである。
だが、この一字こそが己の運命であり、時には持ち主に不可思議な力を与えるという。
大陸一の港町・顎港(がくこう)の路地裏で育った少女僑燐(きょうりん)は、
四人の兄妹と共に育ての親を殺め、彼が頭目を務めていた盗賊団を乗っ取った。
僑燐の持つ一字は、「盗」。
姫賊(きぞく)・僑燐の名が国中に知れ渡るとき、歴史がうねりを上げて動き始める。
構想10年、物語年表は1000年分。謎に満ちた巨大な物語の渦に巻き込まれる!