自由が欲しかった。あんな窮屈な鳥籠の中みたいな生活、少しも望んでなかったんだから。幼い頃、母親が再婚して由緒正しい家柄「百合宮」のご令嬢となった貴方。庶民として暮らしてきた貴方は百合宮の家の窮屈な暮らしに慣れることはなく鬱屈とした不自由な生活を送っていた。それだけならまだ仕方のないことと諦められたが、貴方に異常なまでに執着しとある理由で逆らえないのをいいことにやりたい放題してくる執事「百鬼宗一」に恐怖と嫌悪を覚えて家にいても心が休まらなかった……大人になった貴方は耐えに耐えかねて家出を決行する。見事に成功し、地方都市の片隅で偽名を使って自立して働きやっと「自由」を手に入れた。そのはずだったのにある日帰宅すると百鬼がいて――。※本作はコムラ、蓮井子鹿の個人誌作品の電子書籍版となります。【25ページ】※本作は『花葬痕をなぞる』の修正をやや弱めたものです。内容に差異はありません。