言いたいのに、言えない――私はあなたの子を育てている、と。
サディは勤務する病院に赴任してきた医師ローマンを見て凍りついた。11カ月前に出張したウィーンのホテルのバーで出逢った男性だ。あの日はバレンタインデーで、サディはバーのお祭り騒ぎをよそに、カウンターで独り、恋人の裏切りに遭った心の痛手を癒やしていた。一方の彼もまた、愛や恋には無関心な様子で独りで座っており、自然と惹かれ合った二人は、名前さえ告げずに一夜をともにした。今、互いの名前はわかったが、サディにはまだ彼に伝えるべきことが――あの夜のあとに彼の子を宿したことに気づき、産み育てているのだ!でも、早くも理想のデート相手として注目の的になっているローマンに、なかなか打ち明けることができなくて……。
■メディカル・ロマンスが得意なJC・ハロウェイが、大人気のシークレットベビー物語で華々しく日本デビュー! 自分は不妊症だと思って恋に後ろ向きだったヒロイン。けれども、女性の視線を釘づけにする魅力的なヒーローにもまた、恋愛を避けてきた理由が……。