台湾の地元民が通う喫茶店を、お店のストーリーを通してご紹介します。
使い込まれた、けれども美しく清潔なコーヒーサイフォン。
湯気が立ち、コーヒーの香りが漂う。
それを立てるのはコーヒーに並々ならぬこだわりを持つ店主たち。
そんな味わい深いコーヒーをいただくのは、喫茶店然としたクラシカルな空間。
もしくは、店主の思いが詰まった絵や本が並ぶ店内。
ときには、朝ごはん店のような佇まいで、半屋外の歩道の椅子で、隠れ家みたいな静かな場所で……。
毎日来ているような常連さんから、
遠くに住んでいても長年通い続けるおなじみさん、
近隣に勤めるワーカーや懐古趣味の若者、おしゃべりに夢中なマダムたちなど、
地元の人々がランチにブレイクに気軽に通う喫茶店が、台北の街角にはいくつも存在します。
いわゆる「純喫茶」のような、でも、もう少しフリーダムな雰囲気の、
何十年もずっと愛されている街角の喫茶店。
そこにあるのはおいしい定食やコーヒーのみならず、
あたたかい人情や触れ合いだったり、
ホッと落ち着けるゆるやかな空間だったり。
店主それぞれの人柄や個性が映し出された喫茶店のなんとも言えない不思議な魅力は、
どれもがオンリーワンでナンバーワン。
とびきり個性的で、ほんのり懐かしくて、心をゆったりと満たしてくれます。
しかし、そんな長年営業している喫茶店が近年どんどん減ってきているのも事実で、
それをどうしても記録として残したい!という想いで本書を企画しました。
紹介するのは、数ある台北の喫茶店なかで絞りに絞って偏愛セレクトした17店舗。
(本当はもっと紹介したかったのですが……!)
そのほか、喫茶店がある各エリアの紹介や、
おいし懐かし愛されケーキ屋さんなどのコラムも多数盛り込みました。
懐かしくて愛おしい
台北の街角にある喫茶店のメモリーズ(記憶・思い出)を集めた一冊です。