妻をめとらば才長けて、見目麗しく、情けあり。テレビドラマ化もされた本作は、一流大学を卒業し、大手証券会社に就職した高根沢八一が、社会の厳しさを痛感しながらも、「種族保存」の本能を剥き出しにして嫁探しに奔走する姿を描く。人間は何のために生まれてきたのかという問いを投げかける。9月になり、空もすっかり秋の装いを見せていた。仕事に恋に迷い、八一の心もまた秋のように揺れ動いていた。人生とは、こんなにもつまらないものだったのだろうか。あと少しで三十歳。しかし、ついに三十歳までに結婚を果たすことはできなかった。自分が蒔いた種とはいえ、すべてが後味の悪い結果に終わり、八一は深い絶望に沈んでいた。■目次■第1章 秋の日第2章 金縛り第3章 オンボロロン第4章 土下座第5章 放浪第6章 ジゴロのジョー第7章 前夜第8章 誕生日第9章 ゲス野郎第10章 お見舞い第11章 問題発言第12章 苦あれば楽あり第13章 悩みの日々