「人の子よ お主は私の花嫁になるのだ」…人里離れた山奥の村で、巫女の家系の双子として生まれた雨衣花(ういか)。村を支配し加護している龍神への信仰が熱心なこの村では巫女の存在は絶対で、人々の心の拠り所だった。ところが、姫巫女として力を発揮し人々に崇拝される妹に対して、雨衣花は霊力を全く持ち合わせておらず、なぜかあやかしを強く惹き寄せる体質のせいで、村中から「忌み子」と虐げられる日々を送っていた。降り止まない豪雨によって死者が相次いだある日、神の怒りを沈めるための生贄を選ぶ儀式が行われるが、雨衣花は本来選ばれたはずの妹の身代わりにさせられてしまう…。雷鳴と共に現れた龍神は、周囲も思わず息を呑むほど美しい人間へと姿を変え、死を覚悟した雨衣花に向かって”意外な言葉”を放つのだったーー。