八歳の時に前世を思い出したララティーナ。前世の私は英雄の騎士様と共に最期を迎えた薬師だった。ララティーナは、田舎の伯爵令嬢として生まれ変わっていたのだ。戦乱に巻き込まれた過酷な前世に比べ、今世の私は家族に愛され、なんて幸せなんだろう。気付けば涙がこぼれ落ちる。……『騎士様、百年前から愛しています。騎士様は私の初恋の方でした』ララティーナはいまだ知らない。騎士様は耳の聞こえない侯爵令息として同時代に転生したことを。家族に愛されながらも、彼女の声しか聴こえないヴァドクリフ。運命の再会は、百年越しの恋は果たして叶うのか。なろう最高短編の完全版。カバーイラストは逆木ルミヲ。