愛し愛されながらも寄る辺ないそんな彼女が紡ぐいとしい言葉たち──帯文・山田詠美日本人で文学好きのママと、セネガル人のキレやすいパパの間に生まれた亜和と弟。おだやかな祖父と口うるさい祖母、そして海の向こうにいるまだ見ぬ姉など、いずれも個性的な家族たちが織りなす、愛と旅立ちの物語。ジェーン・スー、糸井重里など多くの文化人がその才能を認める文筆家の第二作は、晶文社スクラップブックで大評判だった連載に、note記事、書き下ろしを加えた、せつなくも愛おしいエッセイ集。装画・我喜屋位瑳務、装丁・名久井直子。まだなんの荷造りもできていないこの部屋から、私はきっと少しずつ荷物を運び出し、さりげなくいなくなっていくのだろう。それは他でもなく、私にまだ「さようなら」と言う勇気がないからだ。誰のためでもなく、私は家族と離れることが寂しいのだ。それでも私はこの家から出ていく。誰のためでもなく、私自身のため、いつか新しい家族を作るために、ひとりで生きてみたいのだ。(本文より)【目次】■I文才ってオール・アイズ・オン・ミー私を怒鳴るパパの目は黄色だったハムスターの心臓宇宙人と娘ママの恋人セイン・もんたいれもの■IIアヒルの子Nogi竹下通りの女王ウサギ小屋の主人小さいバッグとは人間に与えられた赦しであるごきげんよう26歳ジジ■III人のパラソルを笑うな死んでいくMUMMY & AMY SAYS陽だまりの季節笑って損した者なしモンスター「はっ」アワヨンベは大丈夫出ていきます!あとがき