「日下」と書いて「クサカ」と読むことは知られている。ではなぜその漢字をあてるのか。そうした古代にまで遡られるとみられる言葉の謎を、地名のフィールド調査から解明する。目次第一章 「日下」と書いて、なぜ「くさか」と読むのか第二章 「笠置」は「日陰地」を意味していた第三章 『日本書紀』の「頰枕田(つらまきだ)」は円形の田を指す第四章 「鳥居」のトリとは境のことである第五章 卑弥呼のような女性のことを「大市(おおいち)」といった第六章 「国」は「山に囲まれた土地」のことだった第七章 「山中」と「中山」は同じか、違うか第八章 「ツマ(妻)」の原義は「そば」「へり」である第九章 「アオ」「イヤ」は葬地を指す言葉であった第十章 「賽の河原」とは、どんなところかその答は第一章に。ありふれた言葉の、忘れられた意味を追って。古地名の語源を、地形の状況から仮説を立て、例を広げ、実地調査と聞き取りで実証する。これはもう、地名解読の科学的アプローチへの旅路である。