「あの人のプレゼンはいつも参加者が身を乗り出して聞いている」「あの人からの指摘はいつも自然と聞き入れたくなる」「あの人に相談すると、不思議とアイデアが引き出される気がする」あなたの職場や仕事相手に、そういう人はいませんか? きっとその人自身もプレイヤーとして能力を発揮していることでしょう。言い換えると、「仕事がうまくいっている」人ということです。なぜ、あなたはその人の言葉に耳を傾けたくなるのでしょうか?きっとその理由は、「相手に信頼感があるから」だと思います。どれだけ難しい言葉を使おうと、巧みな話術を繰り広げようと、信頼していない相手の言葉は心に響きません。相手のご機嫌を取るのではなく、ただ相手に対し誠実であること。誠実なコミュニケーションのために、どのような言葉を選べばよいかを考えること。それが本書の目的です。古代ローマの哲学者であり弁論家のキケローはこう述べました。「知なき雄弁は国家を滅ぼしかねず、雄弁なき知は無力だ」言い方が立派なだけでは仕事で結果を残すことはできません。それと同時に、どれだけ素晴らしいアイデアを持ち、考えを巡らせても、言い方を間違えてしまうと何も成し遂げることのないままです。本書がその「言い方」を強化する一助となれば幸いです。