150年前の幕末維新期、山形県庄内地方では、わずか数十年間に大きな集団抗議が四つも起こった。
これらは経済的貧困によって引き起こされた、単純な「百姓一揆」ではない。その抗議は正義と公平性を求める運動であり、高官の不正行為に立ち向かった戦略と戦術は、驚くほど高度であった。
日本の歴史学者とは違う視点から、米国の文化人類学者が資料を駆使して明らかにした、その全貌。原著出版から30年、ようやく日本語訳を刊行。
「三方領知替」反対闘争、「大山騒動」、「天狗騒動」、「ワッパ騒動」。
従来集団的行動の分析の定番的観点とされてきた共同体、階級、党派は、本書ではこの四つの集団抗議の説明には役立たないとする。では何が集団抗議となっていったのだろうか?
【この本に書かれている出来事は約150年前に起こったものですが、地元の記憶の中に生き続けることができれば、正義を主張する地元の集団行動の力についての重要な教訓となるでしょう。19世紀の庄内の人々は、自分たちの利益を守るためには自ら立ち上がらなければならず、団結すれば成功できることを理解していました。その時代に真実であったことは、現時点でも真実のままです。】……「日本語版まえがき」より