両親を亡くしたことで、幼い子息が家督を引き継いだブルース公爵家。公爵家とはいうものの、祖父の代から徐々に衰退を始めており、もとは王族の血を引く公爵家だというのに、今では財産と呼べるものはない。そのため、ブルース公爵家の長女であるルナ・ブルースは金銭を目的とした政略結婚を決意する。相手はサイラス・エバンス。エバンス伯爵家は貿易商の成り上がり貴族と揶揄されており、権力を得るためルナに求婚してきたのだ。金はあるが権力がないサイラス。権力はあるが金がないルナ。お互いの利害が一致しただけの、愛のない結婚生活がスタートした。しかし共に暮らしてみると、冷たい男だと思っていたサイラスは、じつは愛情深い男だった。彼は亡き姉の残した一人娘を引き取り、愛情を注いで育てていたのだ。本当のサイラスを知ったルナは彼に愛情を抱くようになる。すると彼もまた、ルナに対して心を開いてくれるようになり……。