39年前の日航ジャンボ機墜落事故時に、日航の技術担当の取締役だった松尾芳郎氏。墜落事故の7年前のしりもち事故の時には、技術部長として日航とボーイング社の間に入って、ボ社に事故機の修理を任せるべきだと進言した人物だ。ボ社はこの修理でミスを犯し、その修理ミスが原因で墜落事故が起き、520人が亡くなった。松尾氏は群馬県警の厳しい取り調べを受け、業務上過失致死傷容疑で書類送検される(結果は不起訴)。松尾氏は群馬県警の取り調べの内容やその実態、墜落事故の関係資料をファイルにまとめている。初公開されるファイルを読み込み、松尾氏への取材を進めていくと、運輸省航空事故調査員会がミスリードした結果、警察・検察は「日航が修理ミスを見逃した、見落とした」という観点から捜査を進めたこと、その捜査事態に無理があり不起訴となったこと、アメリカ優位の日米関係の中で墜落事故の処理が行われていた実態などが浮かび上がってくる。