ローゼン侯爵家の令嬢アデリナは、国の英雄ヴァルター・フォン・ヴランゲル侯爵のもとへ嫁いだ。
ヴァルターは、国王がもっとも信頼する忠臣であり、五年にわたる隣国との戦争で数々の功績を残し、自国に勝利をもたらした氷の将と呼ばれる軍人だ。
戦場から戻ったヴァルターは既に27歳となっており、花嫁探しの夜会が開かれたのだ。
もちろんアデリナも参加するが、弾まないヴァルターとの会話に、早々に花嫁狙いの令嬢たちの争いから離脱したはずだった、のだが――。
「……なぜ、私をお選びになられたのでしょう」
「あなたが一番静かだったからだ」
なぜかヴァルターに選ばれたアデリナ。
この結婚は前途多難かもと思いながらも、いよいよ初夜を迎えたのに、ヴァルターは一向に寝室へ現れる気配がない。
馬鹿にされたと腹を立てたアデリナは、何が何でも初夜に抱いてもらおうと夫のもとへと突撃した。
アデリナは妻の寝室にやってこない理由を問い詰めると――。
「私は、女性を抱いたことがない」
女性を知らないというヴァルターは、処女のアデリナに閨のやり方を教えてくれと頼み……!?
未知の世界に足を踏み入れた旦那様は、これでもかと妻を溺愛する。
作者より
政略結婚から始まった二人がおたがいに努力して歩み寄り、仲睦まじい夫婦となっていく様子を楽しんでいただけると幸いです!
『まずは抱いてください~女を知らない国の英雄は政略結婚の妻を溺愛する~【完全版】』には「まずは抱いてください」~「一緒にがんばりましょう」を収録