「主体性」の確立を、主として宗教(キリスト教)的見地から詳細に究明する。宗教改革以後のキリスト教史・キリスト教思想史の展開を詳細に検討し、多くの神学者・哲学者の思想を批判的に検証する。特に、力を傾注したのが、キルケゴールとカール・バルトの思想である。彼ら二人思想の展開の必然性を明らかにする。
【目次】
序章 主題について
一 主体と主体性 二 キルケゴールからバルトへ 副題について 三 超越の事実性
第一部 問題状況
第一章 主観主義と客観主義
一 原理としてのincarnatio 二 ex opere operantisとex opere operato など
第二章 近代主観主義の問題
一 近代主観主義の展開 二 理想主義における主観主義原理の形成 三 自由主義神学における二焦点楕円の図式 四 「新しい思考」の待望
第二部 主体と主体性 S・キルケゴールについて
第一章 キルケゴール解釈の問題
一 問題の所在 二 H・ディームの問題提起 三 歴史的研究の限界 四 実存弁証法的解釈の方法 五 主体的解釈の立場
第二章 実存の三段階の構造
一 実存的人間学の視点 二 段階構造の二重性 三 段階の相互関係 四 実存弁証法的構造
第三章 主体性における内在と超越 『哲学的断片へのあとがき』の構成と主題について
一 『あとがき』の問題 二 『あとがき』の構成 三 『あとがき』の成立過程 など
第四章 神の前における主体
一 関係としての自己 二 キリスト像の問題 三 実存弁証法の問題性
第三部 超越の事実性 K・バルトについて
第一章 バルト解釈の問題
一 問題の所在 二 転向論と発展論 三 抽象性と具体性
第二章 神の言と実存
一 課題 二 神学におけるキルケゴール・ルネッサンス 三 バルトとキルケゴールの出会い など
第三章 神学における近代主義の克服
一 若きバルトと社会主義 二 ニヒリズムとの出会い 三 提起された課題
第四章 神学方法論の確立 アンセルムスの神の存在の証明をめぐって
一 新しい神概念の形成二 神の存在の証明 三 信仰と知解の弁証法 など
第五章 聖書解釈の方法 R・ブルトマンの問題
一 ケーリュグマ理解の問題 二 実存論的解釈の問題性 三 ブルトマンの神学史的位置づけ 四 聖書理解の姿勢について
第四部 展望 結論にかえて
一 実存の主体性から啓示の事実性へ 二 今日の神学的状況 三 与えられた課題
参考文献
あとがき
索引
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。