「一言にしていえば、財政支出を厚生経済学的な観点から分析し、その分析を現実の財政支出の経済効率の評価にまで応用する」のが本書の狙いである。基本的に経済学は、市場メカニズム重視であるが、本書では公共経済学を扱い、その格好の入門書である。
【目次】
はしがき
第I部 財政支出の純粋理論
第1章 能力説の系譜とその再定式化
1 利益説と能力説の素朴な定義
2 能力説の多様化(1) ミルとエッジワース
3 能力説の多様化(2) ワグナー
4 能力説の多様化(3) ピグー
5 能力説の再定式化
第2章 利益説の系譜とその再定式化
1 イタリアにおける利益説の系譜 マツォーラとド・ヴィティ
2 北欧における利益説の系譜(1) ヴィクセル
3 北欧における利益説の系譜(2) リンダール
4 利益説の再定式化 サミュエルソンの公共財
5 能力説と利益説 再論
第3章 公共財の理論をめぐる問題
1 ストロッツの提言とその問題点
2 公共財と生産の分権化
3 初期の議論 超越的な批判とそれに対する反論
4 公共財の概念の再検討 最近の議論の検討
補論 公共支出の純粋理論からみた均衡予算の原則
第II部 財政支出の経済効率の評価 費用便益分析を中心に
第1章 便益費用評価の有効性
1 財政支出の分類
2 便益評価の仕方
3 便益評価の有効性
補論 公共財の存在とセカンド・ベストの問題
第2章 投資基準の問題
1 異時点間の資源配分における消費者主権
2 市場機構の不完全性
3 最適成長論におけるとり扱い
4 公共投資の割引率
5 公共投資の機会費用
第3章 宅地開発の費用便益分析 一つのケース・スタディー
1 費用便益比率
2 千里ニュー・タウン建設の費用便益分析
3 泉北ニュー・タウンの場合
4 おわりに
補論1 千里ニュー・タウンの開発費用
補論2 千里ニュー・タウン開発費用の費用負担について
補論3 費用便益表について
参考文献
索引
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。