四つの論文から構成される。
本書の第一章「実存論的神学の展開方向」ではキリスト論を中心に論じる。第二章「神の死と実存論的神学」は、聖霊論を媒介にして神観を記述することで、著者の立場が明らかにされる。
第三章「神学と倫理」は実存論的神学を基礎する宿命倫理の構築を試みる。その際、援用されるのが、アメリカの自由主義神学者ニーバー(1892~1971)の思想である。第四章「ラインホルド・ニーバーの政治思想」では、ニーバーの思想を肯定的に叙述する。
キリスト教的な新しい倫理を模索する著作である。
【目次】
第一章 実存論的神学の展開方向
一 実存論的神学と弁証法的神学
二 実存と体験
実存論的神学と存在論、及びエーベリングの言葉の出来事 啓示と実存 実存論的神学と実存主義 その両者の話合いの可能性
三 史的イエスと信仰のキリストの問題についてのバルトの理解
四 マイケルソンの歴史としての神学
五 実存論的神学と神秘
イエスの服従 愛
第二章 神の死と実存論的神学
一 ニーチェ
二 ヴァン・ビューレン
ウィトゲンシュタインの言語ゲーム
三 ヴァン・ビューレン批判
四 ティーリケのニヒリズム批判
信仰とニヒリズム 不条理 コックスの非聖の都会の容姿と次元的思考 西谷啓治 ヴァハニアン 倫理についての二つの推論
五 聖霊論
第三章 神学と倫理
一 ブルトマンの新約の倫理
二 シュヴァイツァーの生への畏敬と倫理
三 バルトの倫理
四 ポール・レーマンの倫理
レーマンとジョン・ベネット 良心 ジョセフ・フレッチャーの倫理 フレッチャーのR・ニーバー批判
五 歴史と自然
第四章 ラインホルド・ニーバーの政治思想
一 ニーバーの政治思想について
二 ニーバーのエーリッヒ・フロム批判
三 ニーバーの共産主義批判
四 ニーバーの社会集団論
五 アジア・アフリカ諸国とデモクラシー
ハミルトンのニーバー批判
六 宗教的社会主義の問題
七 平和主義の問題
あとがき
事項・人名索引
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