人口が首都圏に集中する現代。深刻な少子化も重なり、地方の過疎化は村の存亡をも揺るがす事態にまで陥っていた。しかしそれと同時に、都会の喧騒に疲れスローライフを求め地方への移住を希望する者も続出。過疎化に喘ぐ町村では都会からの移住者は皆有難いものだったが、その中でも若い男女は特に喜ばれた。移住者はやがて子を成し過疎化から救ってくれる為、一部の村では大仰にこう呼ばれていた――【救世主】と。そんなこととは知らず、「消滅可能性都市」に指定されてしまったとある小さな村へ移住してきた青年は、引っ越し早々村の女性にこう告げられた。「私にあなたの子種をください!」これはこの村を救った【救世主】たちの物語である。