<第30回坪田譲治文学賞を受賞した名作『クリオネのしっぽ』続編がついに刊行! この本からでも楽しめます>
中二の唯は、六歳下の弟のヒロと、介護士の母と三人暮らし。
仕事で忙しい母の代わりをつとめ、体の弱い弟のために毎日家事をこなしている。
おしゃべりや主張することが苦手な唯にとっては、弟のことを思いやりながら過ごす毎日や、友人の美羽と好きな本について語り合うゆったりとした時間が何より大切だった。
そんなある日、弟のヒロが一人で亡き父の実家へ行くと言う。
ヒロがいなくなった家で、自分の中身が空っぽだと自覚する唯のところへ、クラスのトラブルメーカー・サッチがやってきて……。
一人の少女の豊かな内面を鋭い視点で切り取った、自立の物語。