オビラント国のミッテルラント子爵家令嬢・ブランシュには前世の記憶があった。
それは今から百年ほど前、帝国ルカ・バラのスパイとして敵国オビラントに紛れ、娼婦兼暗殺者として生きていたというもの。
ある日、スケーヴィング家のパーティに参加した彼女は、次期当主のアイガーと視線を交わしてしまう。
その瞬間、アイガーの前世がブランシュが潜入していた騎士団の長であることに気づき……。
相手も前世に気づいているかもしれないと、逃げようとするブランシュ。
体調不良であることを同行者の父に告げ、その場はことなきを得たはずだったのだが――?
後日、なぜかアイガーから正式な求婚を申し込まれてしまい……!?
彼の求婚はまっすぐで他に意図があるようには見えない。
それでも、安全だと確証が持てない以上、縁談が進まないようブランシュは暗躍する。
しかし、再び訪れたアイガーは縁談を諦めていないどころか、熱い眼差しで愛の言葉を向けてきて――。
手のうちようがなくなったブランシュは結婚式を迎えることに。
しかし結婚式の夜、アイガーの口から飛び出してきたのはブランシュが前世で使っていた名前だった……!?