大侯爵である悪魔フロウラスは、地獄での長い投獄生活にもそろそろ飽きてきた。そんな折、悪魔を閉じ込めた張本人の悪魔大王から一通の任命書が届く。『人間を一匹悪魔にしてこいこの命令に逆らった場合──便所に流す』しぶしぶながらも新しい楽しみを探すため、人間界に赴いた悪魔は一人の少女に目をとめた。その少女は生きながらにして業火に焼かれるなか、人間には視えないはずの自分に必死に語り掛けてくる。悪魔を神と勘違いして縋る少女を嗤う悪魔だったが、彼女には驚くべき能力が秘められていた――。死に戻り。家族から忌み嫌われ、生贄とされた少女は明くる日も明くる日も、家族からの愛を求めた。何度火に炙られ、肌を焼かれ、何度死に戻ろうとも……。「悪魔になれば 愛される?わたし…わたしは生きててもいい?」愚か、愚か、愚かな人間。悪魔は少女にこの上ない愉しみを見出そうとしていた。「お前だけにこの権利を売ってやるよ……」悪魔はまとわりつくような丁寧さで、少女を快楽の渦に誘い込んでいく。享楽的ともいえる肉の交わり、もはや何度迎えたかわからなくなるほどの絶頂……。「どんどんどんどんおかしくなれよ 人間…」「まだ人間のうちに…人間の感覚で愉しいことやっとこうぜ?」狂おしいほど愛を求める少女が、途方もない快楽の契約に侵された先にあるものとは──?※本作は堀田阿伴の個人誌作品の電子書籍版となります。【32ページ】