多くの花が咲き誇る美しい小国・ルーディーン王国の第三王子であるエリファスは、可憐な見た目と慈愛の心から『ルーディーンの天使』との二つ名で国民から愛されていた。そんなある日、予期せぬ神託が下る。それは“夜の国の王にエリファスを嫁がせよ”というものだった。『夜の国』とは、太陽の昇らない最果ての孤島・マギルス王国のことで、そこには、かつて人間に危害を加え、大陸から追放された『マギト』という魔力を扱う凶暴な獣人が棲んでいる。さらに、国王のレオンは黒い巨躯で鋭い牙と角をもつ、すべての獣から畏怖される伝説の魔獣だとも言われている。百年前に国交を断ったマギルス王国は現在謎に包まれているが、そんな国の王にたったひとりで嫁ぐことになってしまったエリファスは・・・?