かつて司馬遼太郎は、歴史はどうしても悪玉と善玉とで説明されると嘆きました。化学では酸素が悪玉で水素が善玉なんてことはないのに、と。イデオロギーによる正邪の要素が歴史解釈には入り込んでしまうわけです。ところが、出口流の歴史解釈は、ちがいます。「あったはずだ」「あるべきだ」といったイデオロギーに基づく願望を排除し、「あった」「なかった」「あたりまえやで」と、あるがままの姿を切り取っていきます。これは、保険業界というビジネスの最前線で戦ってきた筆者だからこその、ビジネスマインドによる歴史解釈なのかもしれません。明治維新に始まる日本の近代は、戦争の連続でした。日清・日露、第一次世界大戦とシベリア出兵、満州事変、日中戦争、太平洋戦争……。右派も左派も、イデオロギー満載で解釈してきたこの時代が、出口流歴史解釈によって、じつに明快に、そして生き生きと再構成されています。本当に起きたことを知りたい人に、最適のテキストです。【目次】第1章 明治維新と文明開化第2章 武士の世の終わりと国民国家第3章 憲法発布と議会開設第4章 富国強兵の成果 日清・日露戦争第5章 短かった国際協調と政党政治第6章 満洲事変と世界からの孤立第7章 アジア・太平洋戦争と近代国家の破綻第8章 近・現代篇まとめ