本格ミステリ×捕物帖! 大胆トリックの意欲作本所一帯を縄張りに、十手を預かる若い岡っ引きの佐吉。「相生町の親分」と呼ばれた亡き父の人徳で、周囲の人々に顔を立ててもらってはいるが、いまだ自分の生業に自信が持てずにいる。ある朝、大川で若い女の死体があがった。裸に剥かれ、真新しいあざと傷だらけ。顔は腫れあがり髪まで剃られているという惨たらしい有様だった。佐吉はさっそく女の身元を調べ始めるが、いくら聞きまわっても杳として知れない。下手人は誰か。それ以前に、殺された女はいったい誰なのか?町医者の秋高とタッグを組み、突き止めた事件の真相とは――新婚早々に殺された妻と消えた夫。死体のそばに二十四文銭を残す辻斬り。寿命が尽きる寸前に殺された男……男たちの意地。女たちの覚悟。執念と因縁が渦を巻く。江戸を舞台に仕掛ける大胆不敵なトリック。著者渾身の時代物本格ミステリ連作集。